上京と聞くと春の話に思えますが、実際には一年を通して東京に移ってくる人がいます。中途採用での転職、10月から始まる下期の異動、大学院への進学。どれも4月とは限りません。
4月以外に上京する場合、部屋探しの進め方は春とは変わります。急がなくていい一方で、出てくる部屋の数そのものが減るためです。
4月以外に上京するのは、どんな人?
中途採用での転職
転職は時期を選ばず、一年を通してあります。内定から入社までの期間は1ヶ月から3ヶ月ほどですが、前の会社の都合でもっと短くなることもあります。引き継ぎと並行して部屋を探すことになるため、時間が取りにくいのが共通する悩みです。
東京へ来られるのは、転職活動の面接のときくらいという人も少なくありません。
下期の異動
10月から下期が始まる会社では、8月から9月にかけて内示が出ます。4月の異動ほどの人数ではありませんが、この時期に転勤で上京する人は一定数います。
大学院への進学や、学年途中の移動
大学院の入学は4月だけとは限らず、秋入学の課程もあります。研究室の都合で時期がずれることもありますし、休学明けや編入学で学年の途中に移る人もいます。
部屋探しはいつから始めればいい?
入居したい月の1〜2ヶ月前に部屋が出てくる
いま住んでいる人が退去するとき、管理会社への連絡は1〜2ヶ月前と決められているのが一般的です。このルールは時期が変わっても同じなので、入居したい月の1〜2ヶ月前に、その部屋の募集が始まることになります。
6月に入居したいのであれば、候補になる部屋が出てくるのは4月から5月です。3ヶ月前から探しても、そのときに出ている部屋はすぐ入居できる部屋ばかりで、希望の時期まで待ってもらえません。
申込から入居まで、郵送なら10〜14日
部屋が決まってからも日数がかかります。契約書を電子でやり取りできる管理会社であれば7日ほどで進みますが、郵送が必要な場合は往復で4〜6日かかるため、10日から14日をみておいてください。
空いている部屋と、居住中の部屋がある
募集に出ている部屋には、すでに空いている部屋と、まだ前の人が住んでいる部屋の両方があります。繁忙期を外れた時期は、空室の期間が長くなっている部屋も出てきます。
空いている部屋であれば、内見をしてから申し込めます。まだ人が住んでいる部屋は内見ができないため、申込で順番を確保しておき、退去後に内見してから契約するという進め方になります。これを先行申込といいます。
内見をせずに申し込むときに何を見ればよいかは、内見なしで部屋を決めても大丈夫?にまとめています。
逆算すると、入居の2ヶ月前から動く
動き出すのは、入居したい月の2ヶ月前
部屋が出てくるのが1〜2ヶ月前、申し込んでから入居まで2週間。この2つを足すと、入居したい月の2ヶ月前には探し始めておきたい、という計算になります。
入社日が決まっているのであれば、そこから2ヶ月を引いた日が、動き出す目安です。
繁忙期を外すと、何が変わる?
同じ部屋を狙う人が少ない
東京都への転入は3月と4月に集中します。総務省の住民基本台帳人口移動報告では、2023年はこの2ヶ月だけで4万8千人の転入超過がありました。
裏を返せば、それ以外の月は同じ部屋を狙う人が少ないということです。春であれば出た当日に決まる部屋も、時期を外せば数日は残っています。内見をしてから決めるか、他の部屋と比べてから決めるか、選ぶ余裕ができます。
条件が見直されている部屋がある
空室の期間が長くなると、貸主も決めたくなります。そのぶん、条件が動く余地が生まれます。1ヶ月分の家賃が無料になるフリーレントが付いたり、礼金がなくなっていたり、家賃そのものが下がっていることがあります。
春に出ていた部屋が夏まで残っているのであれば、同じ部屋でも条件が変わっている可能性があります。
引越しの料金が下がる
引越しの繁忙期は2月から4月で、ピークは3月下旬から4月上旬です。この時期を外すと料金が下がります。
SUUMO引越しの調査では、500km程度の距離で単身の場合、相場は次のようになっています。
| 荷物の量 |
通常期 |
繁忙期 |
| 少なめ |
約64,500円 |
約68,600円 |
| 多め |
約99,400円 |
約117,900円 |
荷物が多い場合、繁忙期との差は2万円近くになります。予約も取りやすくなるため、希望の日程で引越せます。
一方で、出てくる部屋の数は減る
いいことばかりではありません。募集に出る部屋の数そのものが、春に比べてかなり少なくなります。
条件を細かく決めすぎると、候補が1件も出てこないということが起こります。譲れない条件と、譲ってもいい条件を先に分けておいてください。
月別に見た、賃貸の動き
| 時期 |
部屋の動き |
向いている人 |
| 1〜3月 |
一年でもっとも動く。部屋も人も多い |
4月入居が決まっている人 |
| 4〜5月 |
繁忙期の反動で落ち着く |
急がずに選びたい人 |
| 6〜8月 |
動きが少なく、空室期間の長い部屋が出てくる |
条件を比べて決めたい人 |
| 9〜10月 |
下期の異動で、やや動きが出る |
転勤が決まった人 |
| 11〜12月 |
静か。年明けの募集が準備される時期 |
1月以降に備える人 |
4月入居を前提にした動き方は、上京の部屋探しはいつから始める?にまとめています。
転職で上京するときに確認すること
審査では、新しい勤務先を確認される
転職は勤務先が変わるため、審査でそこを確認されます。内定通知書や採用条件通知書で進められる物件もあれば、入社後の給与明細を求められる物件もあります。
入社前に申し込むのであれば、内定通知書を手元に用意しておいてください。何が必要かは物件によって変わるため、申し込む段階で確認するのが確実です。
入社日から逆算する
入社日が決まったら、そこから2ヶ月を引いた日を目安に動き始めます。引き継ぎが忙しい時期と重なることが多いので、エリアと家賃の上限だけでも先に決めておくと、あとが楽になります。
入社日より数日早く入居できるようにしておくと、荷解きと新生活の準備に余裕ができます。増えるのは数日分の家賃だけなので、初日から疲れた状態で出社するよりは安く済みます。
会社が契約者になる場合
社宅として会社が契約する場合は、会社の総務が手続きを進めます。仲介会社を指定されることもありますが、同じ部屋はどの仲介会社でも取り扱えるため、指定された会社でなければ契約できないわけではありません。会社の規定を確認してください。
転職の予定は、申し込むときに伝える
申込書には勤務先と年収を書きます。転職が決まっているのであれば、その時点で伝えてください。審査は、新しい勤務先を前提に行われます。
転職の予定を伝えずに進めても、契約や入居のあとに分かれば問題になります。隠して通すものではありません。
入社前の段階で用意するもの
まだ入社していない段階では、内定通知書や採用条件通知書で新しい勤務先と年収を示すことになります。これで進められる物件もあれば、入社後の給与明細を求められる物件もあります。
貯蓄の残高を示す書類や、親を連帯保証人に立てることで進められる場合もあります。申し込む前に、何を用意すれば審査を受けられるのかを確認しておいてください。
入居日と入社日をどうずらすか
入居日を入社日に合わせる必要はありません。数日早めに住み始めれば、荷解きや役所の手続きを済ませた状態で初日を迎えられます。
逆に、入社後しばらく会社が仮住まいを用意してくれるのであれば、落ち着いてから探すという進め方もあります。繁忙期を外せるぶん、条件のよい部屋を選べます。
いまの住まいの解約も、同時に進める
解約の予告も1〜2ヶ月前
部屋を借りる側も、いま住んでいる家を解約するときは1〜2ヶ月前に伝える決まりになっています。新しい部屋が決まってから連絡すると、入居後も前の家の家賃を払い続けることになります。
契約書に「解約は1ヶ月前までに書面で通知」などと書かれています。引越しの日程を考える前に、まずそこを確認してください。
二重に家賃を払う期間をどこまで短くするか
新居の家賃が発生する日と、前の家の解約日は、きれいには重なりません。引越しと荷解きのために数日は重なる期間が必要です。
目安としては1週間ほど重ねておくと無理がありません。それ以上重なるようであれば、新居の家賃発生日を後ろにずらせないか相談してみてください。
違約金がかからないかを確認する
「1年未満の解約は家賃1ヶ月分」といった短期解約の違約金が設定されている契約があります。入居してから日が浅いうちに転職や異動が決まった場合は、解約の条件を先に確認しておいてください。
異動で上京するときに確認すること
内示の前でも、審査は通る
転勤は勤務先が変わらないため、審査は現在の勤務先と収入で問題なく通ります。内示が出る前の段階でも申し込めます。
配属先がおおよそ分かっているのであれば、先に動いておいて損はありません。内示から入居まで1ヶ月を切ることも珍しくないため、その時点から探し始めると選択肢が限られます。
下期の異動は、8月から動く
10月に異動がある会社では、8月から9月にかけて内示が出ます。3月ほどの混雑はありませんが、転勤での転入が重なるため、都心へのアクセスがよいエリアは動きが早くなります。
契約と入居の手続きは、どう進む?
重要事項説明はビデオ通話、契約書は郵送
2017年から重要事項説明をビデオ通話で受けられるようになり、2022年には契約書の電子化も認められました。契約書を郵送でやり取りすることは多いものの、現地へ出向かずに契約まで進められます。
ただし、管理会社によっては来店を求められる物件もあります。遠方から契約するのであれば、申し込む前に確認しておいてください。
内見に行く時間が取れないとき
転職では、前の会社に勤めながら部屋を探すことになります。東京まで何度も来るのは現実的ではありません。
内見をせずに申し込むという方法もあります。その場合に何を確認すればよいかは、内見なしで部屋を決めても大丈夫?にまとめています。
ガスの開栓は立ち会いが必要
電気と水道は連絡だけで使えるようになりますが、ガスは開栓に立ち会いが必要です。3月から4月は予約が埋まりますが、時期を外せば希望の日に取れます。
インターネットの工事
建物に回線が入っていない場合、開通には工事が必要です。繁忙期は1ヶ月以上待つこともありますが、それ以外の時期であれば2〜3週間で済むことが多くなります。
在宅勤務がある人は、入居日から使えるかどうかで生活が変わります。募集情報に「インターネット無料」「光回線導入済み」と書かれていれば工事が不要なこともあるため、部屋を選ぶ段階で見ておいてください。
住民票と、会社への提出書類
転入届は引越しから14日以内に出す決まりです。転職の場合、入社時に住民票の写しを求められることがあります。入社日までに住所を移しておけるかどうかを、逆算に入れておいてください。
家賃はいくらまでにすればいい?
目安は手取りの3分の1まで
家賃の上限としてよく言われるのが、手取り月収の3分の1です。手取り24万円なら8万円が目安になります。
東京はこの範囲に収まる部屋が少ないため、4分の1まで下げる人もいれば、通勤時間を延ばして家賃を抑える人もいます。どちらを取るかは、生活の組み立て方しだいです。
審査でも、収入と家賃のバランスを見られる
保証会社や管理会社の審査では、年収に対して家賃が高すぎないかを見られます。収入に対して家賃が重いと、審査が通りにくくなります。
家賃だけでなく、共益費や駐車場代を合わせた総額で見られることが多いという点にも注意してください。
転職で年収が変わるとき
転職で年収が上がる場合でも、入社前の段階では新しい勤務先の年収がまだ実績として示せません。内定通知書に記載された金額で見てもらえることもあれば、前職の源泉徴収票を求められることもあります。
年収が上がる前提で家賃を決めると、審査で止まることがあります。申し込む前に、どの金額で審査を受けることになるかを確認しておいてください。
初期費用は、時期が変わっても同じ
繁忙期を外すと家賃や礼金の条件が見直されていることはありますが、初期費用の項目そのものは変わりません。敷金1ヶ月・礼金1ヶ月の部屋であれば、家賃の5ヶ月分前後が目安です。
内訳と、見落としやすい項目は内見なしで部屋を決めても大丈夫?にまとめています。転職で収入が一時的に途切れる時期と重なることもあるため、いくら必要になるかは早めに把握しておいてください。
まとめ